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2025-05-16 17:52:00

登記識別情報(権利証)が提供できない場合の登記手続き

みなさまこんにちは。

富士市の司法書士の佐野貴盛です。

 

不動産の権利に関する登記を申請する際、原則として登記義務者(例えば、売買における売主など)は登記識別情報(いわゆる権利証)を提供する必要があります。

しかし、登記識別情報を紛失した場合や、そもそも通知されなかった場合など、提供できない正当な理由がある場合には、「事前通知制度」を利用することができます。

 

事前通知制度は、登記官が登記義務者に対し、申請があった登記の内容が真実であるかを確認するための通知を行い、その回答をもって本人確認とする手続きです。

 

以下に、事前通知の手続きの一般的な流れを説明します。

 

  1. 登記申請: 登記識別情報を提供できない理由を申請書に記載し、その他の必要書類とともに登記申請を行います。
  2. 登記官による事前通知: 登記申請を受け付けた登記官は、登記記録上の登記義務者の住所に対し、登記申請があった旨と申請内容が真実であればその旨を申し出るべきことを記載した事前通知書を発送します。この通知は、本人限定受取郵便などの方法で送付されるのが一般的です。
  3. 登記義務者による申出: 事前通知書を受け取った登記義務者は、通知された登記申請の内容が真実であることを確認した場合、事前通知書にその旨を記載し、記名押印(登記申請書または委任状に押印した印鑑と同一のもの)の上、法務局に提出します。
  4. 登記手続きの続行: 登記官は、登記義務者からの申出が期間内にあり、その内容に問題がなければ、登記手続きを進めます。
  5. 登記完了: 登記が実行され、手続きが完了します。


事前通知制度の注意点

  • 事前通知による場合、登記義務者からの申出があるまで登記手続きが進まないため、通常よりも登記完了までに時間がかかります。
  • 申出期間を過ぎてしまうと登記申請が却下されてしまうため、事前通知書が届いたら速やかに内容を確認し、手続きを行う必要があります。
  • 事前通知書が届かない場合や、受け取れなかった場合でも、原則として最初の発送日から申出期間が進行します。

 

事前通知制度以外の代替手段

登記識別情報を提供できない場合でも、事前通知制度以外にも以下の方法で登記申請ができる場合があります。

  • 資格者代理人による本人確認情報の提供: 司法書士などの資格者代理人が事前に登記義務者と面談し、本人であることを確認した情報(本人確認情報)を作成して登記申請と併せて提供する方法です。登記官がその本人確認情報を相当と認めれば、事前通知は省略されます。
  • 公証人による認証: 登記委任状について、公証人が登記申請を行う者が登記義務者本人であることを確認し、その旨を認証する方法です。登記官がその認証の内容を相当と認めれば、事前通知は省略されます。

 

どの方法を選択できるか、また具体的な手続きの詳細については、申請する登記の内容や状況によって異なります。管轄の法務局や、登記の専門家である司法書士に事前に相談することをお勧めします。

 

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2025-05-02 15:50:00

遺留分とは

みなさまこんにちは。

富士市の司法書士の佐野貴盛です。

 

今回は遺留分(いりゅうぶん)についてのお話です。

 

遺留分とは、亡くなった方(被相続人)の財産のうち、法律によって一定の相続人(遺留分権利者)に最低限保障されている取り分のことです。

たとえ遺言書で「全財産を特定の人に相続させる」と書かれていたとしても、遺留分権利者は、自己の遺留分を侵害された範囲で、財産を多く受け取った人に対して金銭の支払いを請求することができます。

これは、被相続人の財産処分の自由を尊重しつつも、残された家族の生活保障や、相続人間の公平を図るために設けられた制度といわれています。

 

遺留分を持つ人(遺留分権利者)

遺留分が認められているのは、兄弟姉妹を除く法定相続人です。具体的には以下の人たちです。

  1. 配偶者:常に遺留分権利者となります。
  2. :子が亡くなっている場合は、その子(孫)が代襲相続により遺留分権利者となります。
  3. 直系尊属(父母など):子や孫がいない場合に限り、遺留分権利者となります。父母が亡くなっている場合は祖父母が対象になります。

【重要】兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

遺留分の割合

遺留分の総額(総体的遺留分)は、相続財産の一定割合と定められています。

  • 直系尊属のみが相続人の場合:相続財産の 3分の1
  • それ以外の場合(配偶者や子が含まれる場合):相続財産の 2分の1

個々の相続人が持つ遺留分(個別的遺留分)は、上記の総体的遺留分に、その人の法定相続分を掛けて計算します。

 

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2025-04-30 14:50:00

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

みなさまこんにちは。

富士市の司法書士の佐野貴盛です。

自筆証書遺言と公正証書遺言は、どちらも遺言書として法的な効力を持ちますが、作成方法や保管方法、検認の必要性などに違いがあります。それぞれのメリットデメリットは以下のとおりです。

 

自筆証書遺言のメリット・デメリット

  • メリット:
    • 手軽に作成でき、費用もほとんどかかりません。
    • 遺言の内容を誰にも知られずに作成できます。
    • 何度でも書き直しが可能です。
  • デメリット:
    • 方式の不備で無効になるリスクがあります。
    • 紛失や改ざんの可能性があります。
    • 相続開始後に家庭裁判所の検認が必要です(法務局保管の場合は不要)。


公正証書遺言のメリット・デメリット

  • メリット:
    • 公証人が作成するため、法的にも有効で確実です。
    • 原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
    • 家庭裁判所の検認が不要で、相続手続きがスムーズに進められます。
    • 遺言者が病気などで公証役場に行けない場合、出張してもらうことも可能です。
  • デメリット:
    • 作成に費用がかかります。
    • 公証人や証人に遺言の内容を知られます。
    • 作成に手間と時間がかかる場合があります。

 

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2025-04-28 13:55:00

兄弟姉妹が相続人になる場合の法定相続分について

みなさまこんにちは。

富士市の司法書士の佐野貴盛です。


民法では、兄弟姉妹が相続人となる場合、半血兄弟の相続分は、全血兄弟の相続分の2分の1と定められています(民法第900条4項ただし書き)。

ここで、全血兄弟とは、亡くなった方と父と母の両方を同じくする兄弟姉妹を指します。一方、半血兄弟とは、亡くなった方と父または母のどちらか一方のみを同じくする兄弟姉妹(異母兄弟・異父兄弟)を指します。

 

具体例

例えば、亡くなった方に配偶者はおらず、全血の兄が1人と半血の弟が1人いる場合を考えてみましょう。この場合の法定相続人は、全血の兄と半血の弟の2人です。

スクリーンショット 2025-04-28 135658.png

このように、半血の弟の相続分は、全血の兄の相続分の半分になります。

 

注意点

  • これはあくまで法定相続分であり、相続人全員の合意があれば、異なる割合で遺産分割をすることも可能です。
  • 遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容が優先されます。ただし、遺留分を侵害する内容の遺言書の場合は、遺留分侵害額請求権が発生する可能性があります(ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません)。
  • 被相続人の親が亡くなった場合の相続においては、全血兄弟と半血兄弟の間に相続分の違いはありません。親から見れば、どちらも同じ子であるため、相続分は平等になります。


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2025-04-25 14:30:00

遺産分割協議書に決まった形式はあるか?

みなさまこんにちは。

富士市の司法書士の佐野貴盛です。

 

今回は遺産分割協議書の形式のお話です。

遺産分割協議は当事者間での口約束でも成立しますが、さすがにそれでは相続の手続きをすすめることができません。

そこで、遺産分割協議書という書面を作成することになりますが、この協議書には決まった形式というものはあるのでしょうか?

じつは特に決められたものはなく、手書きでも、パソコンで作成したものでも有効です。用紙のサイズや縦書き・横書きといった点も自由です。

とはいえ、最低限記載すべき項目はありますので、その一例をご紹介します。

 

遺産分割協議書に記載すべき主な項目:

  1. タイトル: 「遺産分割協議書」と記載します。

  2. 被相続人の情報:
    ・氏名
    ・最後の本籍
    ・最後の住所
    ・死亡年月日

  3. 相続人の情報:
    ・相続人全員の氏名
    ・住所
    ・実印の押印

  4. 相続財産の特定と分割内容:
    ・財産の種類: (例: 不動産、預貯金、株式、自動車など)
    ・所在・名称・数量など: 財産を特定できる情報を正確に記載します。
    ・誰がどの財産を相続するのかを明確に記載します。

  5. 協議成立日: 遺産分割協議が成立した年月日を記載します。

  6. 署名と実印: 相続人全員が自署し、実印で押印する必要があります。

  7. 印鑑証明書の添付: 相続人全員の印鑑証明書を添付することが一般的です。

  8. 作成時の注意点:
  • 正確な情報: 被相続人および相続人の情報、財産の情報は、公的な書類(戸籍謄本、登記簿謄本、通帳など)に基づいて正確に記載してください。
  • 明確な記載: 誰がどの財産を相続するのかを具体的に、誤解のないように記載してください。
  • 相続人全員の合意: 遺産分割協議書は、相続人全員の合意がなければ無効です。
  • 契印・割印: 遺産分割協議書が複数枚にわたる場合は、相続人全員が契印(ページとページの間への押印)をするとともに、作成した協議書が複数通になる場合は、割印(複数通にまたがるように押印)をすることが望ましいです。

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